「中小企業の経営の改善及び地域の活性化のための取り組みの状況」について(平成27年度)

  1. 中小企業の経営支援に関する取り組み方針
    •  杜の都信用金庫は、「中小企業の健全な発展」「地域社会繁栄への奉仕」を経営理念に掲げ、地域の中小企業・零細企業および地域住民の皆さまへの円滑な資金供給に努めるとともに、コンサルティング機能を発揮し、お客さまの経営改善や事業拡大の支援を通じて、「地域社会の発展のために設立された地元の信用金庫」としての原点に立ち、被災地への継続的な復興支援をするとともに、「まち・ひと・しごと創生法および地域再生法」の基本理念を尊重し、地域やお取引先に更なる成長・発展等に向け、〝最も相談しやすい地元のしんきん〟を目指してまいります。
  2. 中小企業の経営支援に関する態勢整備の状況
    •  中小企業の経営支援については、平成19年よりビジネス・マッチングへの参画によるお取引先の販路拡大に向けた支援を継続しており、また平成23年3月の東日本大震災により被災されたお取引先の復興再生、および中小企業金融円滑化法の期限到来による対策として、宮城県中小企業再生支援協議会、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、みやぎ産業振興機構等外部機関との連携を図り、お取引先の経営改善に向けた支援強化に努めてまいりました。
       さらに、中小企業金融円滑化法の期限到来後も、これまでと変わらず、引き続き貸付条件の変更等円滑な資金供給に努めていくことを公表するとともに、全職員に対し周知してまいりました。
       中小企業経営力強化支援法に基づく認定経営革新等支援機関の認定を受け、今後もコンサルティング機能を発揮し、お客さまの経営改善や事業拡大を支援してまいります。
       経営者保証に関するガイドライン研究会より「経営者保証に関するガイドライン」が公表されたことを踏まえ、お客さまと保証契約を締結する場合、保証人のお客さまより保証契約の見直しのお申し出があった場合、また、保証人のお客さまが本ガイドラインに則した保証債務の整理を申し立てられた場合は、本ガイドラインに基づき、誠意をもって適切に対応するよう努めています。引き続き、本ガイドラインの主旨を踏まえ、適切に対応すると共に、担保・保証に過度に依存することなく、企業価値や将来性を重視した融資に取り組んでまいります。
  3. 中小企業の経営支援に関する取り組み状況
    1. ①創業・新規事業開拓の支援  平成16年12月に創業支援融資取扱要領を制定し、その他信用保証協会及び宮城県、仙台市の創業支援関連制度融資の活用により、起業される方や創業間もない方を対象に創業時の資金繰りを支援しています。平成27年度の実績は35先に対し172百万円の新規融資を実行いたしました。
    2. ②成長段階における支援
      • ビジネスマッチへの取り組み
         ビジネスマッチへの参画による、お取引先の販路拡大や経営課題解決に向けた支援に伴う信頼関係の向上を目指しており、平成27年11月開催の「ビジネスマッチ東北2015(東北地区信金協会主催)」では、当金庫のお取引先15社が出展しました。
        また、経済産業省の地域経済産業活性化対策補助金を活用した「首都圏等販路開拓コーディネート事業」を展開し、当金庫のお取引先2社の首都圏の販路開拓支援を実施しました。
      • ABL(動産担保融資)の推進
         中小企業金融円滑化法の最終期限を踏まえた「出口戦略」における政策パッケージの公表による金融の円滑化を図るための新規融資の取り組みとして、ABL(動産担保融資)に取り組んでおり、平成27年度の実績は2件の265百万円となっております。
         外部評価機関トゥルーバグループホールディング株式会社と業務委託基本契約を締結し、ABLの手法のノウハウの習得に取り組んでおります。
    3. ③経営改善・事業再生・業種転換等の支援
      • 取引先に対するコンサルティング・経営指導等の提供
         前述の「出口戦略」における政策パッケージの公表により、コンサルティング機能の発揮による経営改善支援策として、外部機関との連携について取り組み、平成27年度の実績は以下の通りとなりました。
        (平成28年3月末実績)
        1. 宮城県中小企業再生支援協議会
          協議事案 31件(うち成立事案 29件)
        2. 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構
          協議事案 36件(うち買取事案 32件、支援決定 1件)
        3. みやぎ産業復興機構
          協議事案 4件(うち買取事案 3件、支援決定 1件)
      • 経営支援能力の向上
         事業再生支援に必要な知識の習得を図るとともに、実際に再生支援協議会との連携にてお取引先の事業再生計画を策定することでスキルアップを図ることを目的として、中小企業再生支援協議会全国本部から講師を招いて研修会等を開催し、コンサルティング機能の強化に努めております。
      • DES(債務の株式化)、DDS(資本性借入金)の推進
         前述の「出口戦略」における政策パッケージの公表による新たな事業再生手法として、DDS(資本性借入金)の活用にも取り組んでおり、現在まで1件の35百万円を実行しております。
      • M&A仲介等
         経営支援の一環として、高齢化社会を背景とした中小企業等の事業承継問題に取り組み、信金キャピタル株式会社並びに株式会社日本M&Aとの業務提携により、仲介業の取扱をしております。
         平成27年度の実績は1件成約となりました。本件は、後継者問題の解決と事業拡大の両方を当金庫内で支援できた事例となったものです。
  4. 地域の活性化に関する取り組み状況
    1. ①東日本大震災により被災されたお取引先の事業再生支援等  東日本大震災からの復興支援の一環として、平成23年12月に信金中央金庫および信金キャピタル株式会社との共同出資により、被災地域で再生に取り組む中小企業を支援するためのファンド「投資事業有限責任組合しんきんの絆」が設立され、取り組みを行っております。
    2. ②政府系金融機関との業務連携  平成26年10月2日 株式会社日本政策金融公庫と覚書締結
       平成27年1月19日 株式会社商工組合中央金庫と覚書締結
       地域の中小企業の金融ニーズに対して、「地域金融機関」と「公的金融機関」の持つそれぞれの機能や特性を活かしながら、これまで以上に地域経済の活性化に貢献してまいります。
    3. ③その他、地域経済の活性化対策として取り組んできた事例
      1. 地場産業の支援、新事業・業種転換を目指す企業に対する支援
        TKC経営者ローン
        創業支援融資
      2. 再生可能エネルギー買取制度を利用した融資
        平成27年度取り組み実績は、10先605百万円を実行しております。
      3. 地公体等とのタイアップ事業
        多賀城・七ヶ浜商工会会員緊急資金融資
      4. 東日本大震災関連
        災害復旧対策融資
        地域企業支援(震災復興特別資金)融資

上記プロパー融資の推進により、地域金融の円滑な資金提供に取り組んでおります。